一人の男がこの世を去ることにした。あの世に行くと見たことがない恐ろしい化け物がいる。
その化け物は男にある事を質問した。
精神崩壊寸前五秒前
俺は今ギリギリの精神状態で崖っぷちに立っている。
この世の人生が嫌になり、自ら終止符を打とうしている。足元は、ほんの数センチの幅しかない。風が吹けば、冷や汗がでて体よりも先に、心がフラフラになる。
なぜ、このような状況になったのか……。
俺はもう人間関係に疲れ、生きていくのが嫌になった。下を見ると、海がキラキラと綺麗に輝いていて、気を抜くとフワッと吸い込まれそうになる。
明日にしようかな?
少しお腹も減ってきた……。もう生きていても何もいい事なんてない……。つらいだけで苦しいだけだ。
心残りはあのパン屋のビーフカツサンドが食べたいくらいだ……。
遺書も書いたし、もう読まれているかも……。やっぱり親より先に逝くのは、最上級の親不孝かな。
もうここで終わる?
それとも、もう少しだけ頑張ってみる?
何かやり残した事は、もっと美味しいビーフカツサンドがあるかも……。
そう思った次の瞬間、突然強い風が吹き、体中に冷たい血が勢いよく流れた。とっさに何かを掴もうとしたが何もなく、そのまま一回転をし、あの世への入り口に……。
そんなのあっけないな。
俺はそんな事を考えながら、そろそろ呼吸が苦しくなってきた。ガス独特の臭いで頭がクラクラしてきた。
借金地獄から抜け出せない毎日の取り立てに疲れ果て、もう生きていくのが嫌になった。
今、火を付けたら爆発するかな?
でも、最後ぐらいは人に迷惑をかけずに逝きたいな。
意識がもうろうとしてきた。残りの余力で遺書を書こうと万年筆を取ろうした瞬間、わずかな静電気で爆発した。奇跡的にかろうじて、まだ生きてはいるが熱くて痛くて、たまらない。
俺の体に炎が燃え移り、薄れゆく意識の中で、人に迷惑はかけるし、最後の最後まで苦しみながら逝くのは最悪だな……。
迷惑きわまれない結末。そして、あの世への入り口に向かった。
そんなのは酷すぎる……。
俺はそんな事を考えながら、睡眠薬を六十錠ぐらい飲んだ所で気持ち悪くなり、これで大丈夫と思っていたが、まだ眠くならない。愛する妻に逃げられ、もう生きる気力もない。
ものすごく吐き気がする。俺の人生なんだったのだろう。人間関係に疲れ、借金地獄に陥り、長年連れ添った妻にも愛想をつかれ出ていった。
だんだんとまぶたが重くなってきた。このまま逝くのか、寂しい人生だったな。そのまま永遠の眠りに入っていった。
あの世?
気がつくと、そこは真っ白い煙に覆われ目の前には扉があった。そこには「あの世」と書いてある。
この扉をあけると死ぬのかな?
あの世に行くのかな……。
まだ死んでいないのか?
あの世へ行く前に、もう一度これでいいのかと考える所なのか?
俺はその扉を開けようとしたが、鍵が掛かっているのか開かない。何度も何度も押しても引いてもビクともしない。
俺は意地になって、その扉をドンドンと叩いて叫び続けた。何も変化がなく、虚しくなってきた。
俺はあの世にすら行けない、どうしようもない人間なのか……。
すると向こうの方から、鬼の様な悪魔の様な姿の化け物が、ゆっくりとこちらに向かって歩いてきた。
俺は恐ろしくなり、その場から逃げようとしたが腰がひけて動けない……。
その化け物は俺に近づきこう言った。
「この場所は自ら人生を諦めた人間だけがくる場所だ」
「…………」
「つまり、この世とあの世の間だな」
化け物はそう言って、なぜこの世の人生を諦めたのか尋ねた。
俺はこの世の人生の出来事や、死んだら楽になれるからと話すと、化け物は笑いながらこう言った。
「人間は少し勘違いしているが、死んでも楽にはなれないんだよ……」
俺は意味がわからなかった。
「人間はあと一歩の所でよく諦める。その先を乗り越えれば素晴らしい人生が待っているのにな……」
化け物は少し切ない様な、悲しい顔をした。
「人間関係、借金地獄、愛する人に去られた。私からすれば、とても小さな事だ。人生を諦める理由にならない。人間は弱くなった。本当にあの世へ行きたいのか?」
化け物は尋ねた。
「はい……」
化け物はしばらく考えて、鍵を差し出した。
「この鍵はあの世への扉が開く鍵だ」
俺はその鍵で扉を開け、あの世へ行った。
この世?
私は今ギリギリの精神状態で崖っぷちに立っている。
あの世の人生が嫌になり、自ら終止符をうった。気がつくと、そこは真っ白い煙に覆われ、目の前には扉があった。
その扉には「この世」と書いてあった。
私はその扉を開けようとしたが鍵が掛かっているのか開かない。
私は必死になって扉をドンドンと叩き続けた。すると向こうの方から鬼の様な悪魔の様な、化け物が近づいて来てこう言った。
「この場所は自ら人生を諦めた人間だけがくる場所だ。つまり、あの世とこの世の間だな」
化け物は、なぜあの世の人生を諦めたか尋ねた。
「あの世の人生は、同じ事の繰り返しで苦しくて、つらい事ばかりで、もう耐えられません。生きたら楽になれるから……」
すると化け物は、笑いながらこう言った。
「人間は少し勘違いしているが、生きても楽にはなれないんだよ」
私は意味がわからなかった。
化け物は尋ねた。
「本当に、この世へ行きたいのか?」
「はい……」
化け物はしばらく考えて、鍵を渡した。私はその鍵で扉を開け、この世へ行った。
僕は今ギリギリの精神状態で崖っぷちに立っている……。
この世の人生が嫌になり、自ら終止符を……。
無限ループって恐い