童話のシンデレラのその後は一体どうなっているのか……。
果たして本当にシンデレラは幸せなのか……。
王子はあるテストを試みた
ガラスの靴がピッタリと合った事により王子はシンデレラを妻に選んだ。いろんな女性が候補に来る中、王子は少し女性不信になっていた。
それもそのはず、ガラスの靴を履くためにかかとを削ぎ落としたり、足に杭を打ち付けたり……。
女性という人間が自分の欲望のためなら躊躇しない行為に、内心シンデレラもそうなのかと疑っていた。
自分が王子でお金持ちで、ただ外見だけで判断して近づいてきたのではないかと思い、シンデレラにあるテストを試みた。
それは、実は魔法使いに魔法で王子にしてもらっていて、後一週間でその魔法は解け、本当の正体は貧乏で見た目は化け物に近いと伝える事。
その反応を見てシンデレラの本音を知ると言うことだった。王子は結婚式が終わったあと、シンデレラを部屋に連れて行き、その事を話した。
シンデレラは一瞬驚き、しばらく無言のまま立ち尽くしていた。そして、静かにささやくようにつぶやいた。
「しばらく一人にしてもらえませんか……王子様」
王子はやっぱり女性というのは……と心の中で呟き、そしてこう言った。
「わかった。シンデレラがこの結婚を辞めたいのなら、それでも構わないよ」
王子はシンデレラを一人にして部屋を出た。シンデレラは一人になってしばらく考えた。王子に嘘をついていた事を後ろめたく思っていた。
最初に出逢った時、魔法使いに魔法で綺麗なドレスを着てカボチャの馬車でお城にきたこと。
魔法が十二時で解けてしまうと汚い服装を見られてしまい、嫌われてしまうのが怖くて必死で逃げるように帰った事。
それでもガラスの靴がピッタリと合い、その時の服装はボロボロだったのに私を選んでくれた事。なのに私は今まで正直に話さなかったこと。
王子様は正直に話してくれたのに……
そんな自己嫌悪に陥ったシンデレラはある決心をした。そして、王子のいる場所へ行き、こう言った。
「王子様、言いにくいのですが話したい事があります」
「そうか、君も結局は僕が疑っていた通りの女性の一人だったのだね」
「えっ? どういう事なのですか?」
「君も外見とお金目当てで近づいてきただけだったのだろ!」
王子は声を張り上げた。
「王子様の事をあまり何も知らずに結婚したのですから、そう思われても仕方がないですね……」
シンデレラの目から涙がこぼれ落ちた。そして、シンデレラは正直に全てを話した。家が貧乏で食べる物も着る物もろくになかったこと。
姉達に毎日の様にいじめられて辛かったこと。お城のパーティーに行きたくて魔法使いのおばさんに頼んであの綺麗なドレスを着させてもらったこと。
その事が言えずに苦しんでいたこと。
そんな時、王子が正直に自分の事を話してきてくれて、始めは驚いたが嬉しかった反面、自己嫌悪に陥った事。それに、あと一週間で今の姿ではなくなるということ……。
「今の姿ではなくなる?」
王子は目を見開き、もう一度聞き直した。
「あと一週間でこの美しくて綺麗な姿ではなくなるということなのか?」
「はい、王子様が正直に話してくれたので私も勇気を出して言えました」
王子の目が一瞬およいだ。さらにシンデレラは震える声で王子を見つめてこう言った。
「王子様が本当は貧乏で見た目が化け物に近くても、あなたという人柄に私は惹かれています。それに私も……」
王子はしばらく一人にしてくれと言って部屋を出た。王子は一人になってしばらく考えた。
自分が貧乏でも化け物に近くてもシンデレラは惹かれているということ。でも、実はシンデレラは美しくて綺麗な姿ではないということ。
王子は決心した。 王子はシンデレラの所へ行ってこう言った。
「僕は女性不信になっていて君を試した。魔法にかけられているとかは全部嘘だ。でも君も僕を騙していたね……。すまないがこの結婚は破棄にしてくれ」
シンデレラの目から涙が溢れ出て、大きな階段をあの時と同じように駆け降りて行き、お城を出て行った。
シンデレラは途方に暮れながら、ふと意地悪な姉達がよく言っていた事を思い出した。
男という生き物は、なんだかんだ言っても女を見た目で選ぶのよ!
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